ツナの手はものすごく冷たい。


ツナが寒がりってのもあるけど、ときどきホントに血が通ってんのかってくらい冷たくなって、痛そうに顔をしかめるから、それを温めるのが最近のオレの仕事だ。


「やまもとー、」
「…んー?」
「手、あったかい、けど」
「んー」
「やっぱ恥ずかしいっ!」
「あ!」



ぶんっ!とオレの手を振り払ったツナの顔はそらもー真っ赤だった。なんつーか、トマトみたいっていったらまさに今のツナの顔だろう。


ちなみに手を繋いでたのは買い物の帰り道。おばさんに頼まれ事したツナを、その途中で見付けて、ツナの両手にぶら下がるビニール袋の片っぽを奪った。そんで、空いてる片手にはツナの手。

手袋忘れた、と言うツナの手はやっぱり信じらんねぇくらい冷たかった。


「なにすんだよ、手ー冷えるぜ?」
「良いよ冷えたって!それよりやだ!」
「やとか言うなよなー!」
「だ、だって…!」
「オレたち付き合っ」
「わー!!わーわー!言わなくて良いから!」


ばかもと!とぷっくりほっぺ膨らますツナは可愛いけど、やっぱりさっきの言葉は聞き捨てならない(どんだけ悩んでコクったと思ってんだ!)(それなのに嫌だとか!)(ばかつな!)(大好きだけど!)
とりあえず、ビニール袋をガサガサいわせて駆けいったツナの後ろを早歩きで追いかけて軽くタックルしてやった。ぎゃ!とか変な声が聴こえてしかめっ面で睨まれようと、そんなん全然怖くなくて、やっぱりツナは可愛い。

そんで、そうだ。さっきツナに遮られたけど、オレたちは付き合ってる。一ヶ月くらい前にオレが告白して、ツナからの返事がもらえたのはそれから二週間くらい経ってから(くらい、なんて本当は詳しく覚えてんだ)(でもまぁ、そこらへんは内緒)(って、ことで)


「せっかくのクリスマスだぜ?」
「…それは明日」
「…あ、今日はイブか」
「そーだよー」
「で、手」



あ、肩ビクってした。話逸らそうったってそうはいかねぇんだからな。
なんだよそんな嫌?ツナだってオレのこと好きって言ったろ?トマトみてぇな顔して。


「お、おれだって…俺だってすきだよっ!」


言いづらそうに、恥ずかしそうに、泣きそうに、もごもごしたあとにやっと聴けた返事はオレが望んだ中で最高のものだった(ぶっちゃけると最高以上)



だから、オレはそれが、この今が嬉しくて、ついこーツナの恥ずかしがることをしてはツナを怒らせて、そんでツナからツナお預け令が下されてしまう。片想いのときからずっと我慢していたオレにとっては、とんでもない仕打ちだ。



「つなー?悪かったって、な?」
「…まだだめ」
「お?」
「…俺だって、山本とクリスマス過ごせて嬉しいよ?」
「ん」
「けどまだ、 …恥ずかしいっていうか」
「ん」
「……信じられないっていうか…   、!」



マフラーに顔を埋めてもごもごとしゃべるツナの手を、もう一度とって繋いだ(ああ、ほら)(やっぱり冷たくなっちまってる)

そんな冷たい手してるからわかんなくなんだって。

信じらんねぇなら、何回だって、いつだって、オレはツナと手、繋ぐぜ。

少し前までは、出来なかったこと。
それが今ではいつでも出来るんだ。

だからさ、繋ぐのナシ、ってのがナシ。な?


オレの手は、ずっと温けぇまんまだから。



「つな」
「…  うん?」
「好きだぜ」
「  ……きいた」
「いつ?」
「  きのう」
「じゃー今日はまだだ」
「 なんだよそれ」




下を向いて歩くツナがコケないようにときどきひっぱって、その度にやっぱりこの手は離しちゃだめだと確信した。


「や、…やまもとっ」
「んー?」
「…   っ!」
「!」



それにホラ、

ずっと手繋いでれば、こうしてツナがオレのこと引っ張れる。


したら不意打ちで頬っぺにキス貰っちまったり?





「めっ、 …メリー  クリスマス」




真っ赤な顔でそう言うもんだから、でれでれの笑顔で抱きついたら、

自分のこと棚に上げたツナに、外だから!って怒られた。







「……なぁ、ツナ」
「なに」
「メリークリスマスって、言うの明日じゃね?」
「!」




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クリスマス色の薄い話ですが!
メリークリスマス!!



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